どうしてこんなに首が痛いんだろう。残り5時間もある飛行機の中で途方に暮れる。信じられないほど首が張っていて、ネックピローの空気の入り具合を微調整するも、全然眠れない。絶対に、空港に着いたら、「成田空港 近い 銭湯」で検索してやる。
映画はいくつか観たいものもあったけれど、英語字幕もなし。一本チャレンジ。白いガウンのようなワンピース姿のティルダ・スウィントンがあまりに美しく、しばらく眺めていたが、話についていけずに諦めた。
少し派手めなファッションを、ゆったりと、豪快に、楽しんで着ているのがわかる。心の中には台風を飼っていて、哀しみもよく知っている。だからこそ、人生の楽しみ方を知っている。そういう役柄だった(私のつたない英語力での理解です)。
そんな女性のことを思うと、すぐに雨宮まみさんのことを考えてしまう。
というか、雨宮まみさんがいなくなってから、彼女のことをずっと考えている。
仕事では一度だけお世話になっただけだったけれど、ちょうど30歳の私は、二十歳のころに思っていたより自分の人生に混乱していて、まみさんのエッセイや言葉に日々、励ましてもらっていた。
もう穴の底には待っていてくれる人はいない。それなら、穴から自力で出なくては。
どうせあと5時間は眠れないんだし、悶々としたっていいよね。
父と4年近く会えていないこと、そのぶん密な、母親との関係をときどき鬱陶しく思ってしまうこと、歯医者にすら行けないし、なかなか湯船もためられない、面倒臭がりが呼ぶ不健康な自分にがっかりしていること、大人になってから、人望ってなんだろう、他人をもっと大事にできる人になりたい。そんなことをしみじみ思うこと。
からまったネックレスみたいに、全部がぐちゃぐちゃになっているので、ひとつずつ外して行きたいと思う。
たまたまなにかの検索でたどり着いた方がいたら、少しだけお付き合いください。
ちなみに、ティルダ・スウィントンが美しい映画とはこちらのことでした。
かなりセクシーな、マティアス・スーナールツも眼福です。